カガク De 暮らす

元研究者のゆるーいブログです。職業病により、家庭でもカガクしています。

今更ながら、読みました。

 

世間を騒がせたこの問題↓

 

あの日

あの日

 

 

しばらく時間が経っていますので、世の中の話題としてはすっかり下火になりましたが、私の中ではもやもやしたものが残っていたので、この度読んでみました。

そして、いろいろと思うところがあったので、ブログに読書感想文を書いておきます。

 

読んだ感想の前に、この本の出版以前に報道から受けた私の認識を。(育児中だし積極的に情報収集したわけではないので断片的な情報からの認識ですが。)

  1. ネイチャー論文のメインは小保方さんの実験。
  2. 小保方さんは論文の図表の取り違えやゲル写真の切り貼りをしたこと、ドクター論文の取り違えは本人も認めているし確かなことだろうが、実験結果(STAP細胞の作製)は自信を持っていたし、実際にSTAP現象とされる現象は起こっているようだった。
  3. でも何故か、検証実験は失敗、STAP細胞はできなかった。
  4. ES細胞が混入していたとの報道。小保方さんの実験手技上のミスなのか?
  5. 実験データの取り違えや実験ノートの記述の不備からも(まあ、現場ではよくあることですが…)いろいろとうっかりさんなのかなこの方。

といった具合でした。


しかしこの本に書かれていた内容は、

  1. ネイチャー論文の、STAP細胞作製までは小保方さんの仕事、その後は若山先生の仕事。
  2. 小保方さんの検証実験において、STAP細胞作製はできていた。しかし、若山先生の担当した部分では再現できず。これが「STAP細胞はできなかった」との報道に。
  3. ES細胞の混入は、若山先生の担当実験のところで起こったらしい。
  4. 小保方さんは、論文発表前に若山先生の実験の再現が取れないことを指摘していたが、都合のいいデータのみを使って論文は投稿された。

とのことでした。

 

なるほど、なんだかすごくスッキリしました。
小保方さんのあの表情はまぎれもなくSTAP細胞を見てきたものだったし、「ES細胞の混入」と結論づけられてもミスの可能性を認めない(自分に自信を持っている)なんて、相当なメルヘンさんなのかな思っていました。つまり、ものすごく不自然だったということです。
でもこの本を読んで、なんだ、普通の、優秀な、しかしデータの扱いとかはちょっとゆるいところがある、アイディアマンタイプの研究者じゃないですか。
小保方さん視点で研究の発案、調査、実験計画、ディスカッションなどの一連の流れを見ても不自然な点はありませんし、マスコミの報道よりもずっと納得のいくものでした。
むしろ、私の境遇と似ていて、「あるある」満載、懐かしさすら覚えました。

 

もちろん、この本の内容の全部が全部正しいとは限りません。私だったらこんなに研究の詳細や会話などをちゃんと覚えていられないし(これは私が忘れっぽいだけ…?)、誰かとの会話の意図を自分が正しく受け取れているかもわからないし、それに自分に都合のいいところを抜き取って書くことはいくらでもできます。
でもメールでやり取りした内容は当然記録がのこるので嘘を書く余地はありませんし、関わった人の実名も公表しています。こういった部分は、「事実」であるといえるでしょう。

この「事実」が様々な立場の人たちにより捻じ曲げられ、隠され、私が報道から受け取ったような間違った認識を視聴者は植え付けられ、小保方さんが全ての悪を背負い込む形になったこと、本当に、本当に残念で仕方ありません。
論文よりも、その後の報道のほうが「悪意のある捏造」といっても過言ではないでしょう。

「事実」を最も客観的にとらえられ、「事実」として語るのが科学者の仕事だと思っていました。なのに、利権や責任が関わってくるとやはり人間なのですね、マスコミを含め多くの人が「事実」よりも「利益」の方向へ流れていく。最後まで「事実」を主張した「本当の」科学者は悪者にされる。

なんだか地動説とかそのへんの昔から、たいして変わりませんね。これが人間の本質なのかもしれません。


最後に、彼女と同じ「元リケジョ」としての私の気持ちを。

おそらく、STAP細胞はあります。
ただ、ネイチャーに掲載され取り下げられたあの論文のような、キメラマウスを作れるような万能な能力は今のところ持ち合わせていないようです。ですので、iPS細胞のような医療技術への応用は、まだ難しいでしょう。
それでも、「体細胞にストレスを課すことで万能細胞特有のタンパク質が発現すること、つまり、STAP細胞は万能細胞にはなっていないけれども、万能性に関わる何かしらの重要な現象が起こっている」という結果は、今までに無い発想であって、生物学的意義は大きいものだといえます。


どうかこの研究の芽を摘まないで、ぜひ前進させてほしいと思います。
(できれば、彼女自身の手で進めて欲しかった。)


※ちなみに、すでに幾つかの研究チームが、小保方さんが見つけたSTAP現象と思われる現象を確認しているそうです。

 

 

STAP細胞はなぜ潰されたのか ~小保方晴子『あの日』の真実~

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STAP細胞 残された謎 (Parade books)

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STAP細胞は存在していた!_ 発覚!強奪されていた小保方晴子・世紀の大発見

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STAP細胞の真実_日本中が驚いた小保方晴子氏を巡る騒動劇の全貌解明!

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追伸。

 

研究現場って普通、特許なんかが関わってくるので機密情報だらけです。なので、このような、研究内容もなにもかもぶっちゃけた話を読む機会なんてほとんどありません。
なんだかすごく新鮮であり、同時に、研究現場の空気感が手に取るように思い出され、懐かしく切なく感じました。

出産育児により研究を辞める選択をした私ですが、やっぱり研究は大好きです。今でも実験する夢を見ます。マイクロピペッターの感触、ボルテックスの振動、低温室の寒さ、有機溶媒の匂い、分析装置のきゅるきゅるした作動音。おもしろい結果がでたときの高揚感、研究進捗報告会での緊張感、持論を認めてもらった時の充実感、研究報告会で大々的に発表したにも関わらず再現が取れなかったときの焦り。

なんだか小保方さんと共感するところがあまりにも多くて、なんだかこの気持ちを残しておきたくて、それでブログ記事にすることにしました。


またいつか、ピペッターを握れる日が来るのだろうか?

私も、彼女も。