カガク De 暮らす

元研究者のゆるーいブログです。職業病により、家庭でもカガクしています。

冬至は真冬ではなくて、夏至は真夏ではない理由を考える。

 

こんばんは、コガです。

 

今年は暖冬とはいえ、いよいよ寒いですね。
1月下旬は平年並よりもやや寒くなる予想も出ていますし、警戒が必要です。


ところで、一年で一番寒い時期といえば1月下旬ですよね。一年で一番日が短いのは12月の冬至です。すこしずれていますよね。

夏でも同じようにずれがあります。夏至は6月てすが、一番暑いのは8月。

何故でしょうか?

今日はこれを考えてみます。

 

◆◆◆

 

まずは、春夏秋冬の季節が何故あるのかを考えてみましょう。

中学校の理科では「地軸のズレによって太陽が真上近くを通ったり、低いところを通ったりするから」と習った気がします。あとは別の単元で、冬や夏の特徴的な気候、天気の気団(シベリアとか小笠原とか)とか、西高東低とか南高北低とかを習いました。

日照時間の長さも暑さ・寒さに影響していそうですよね。

また、夏は太陽が近いから暑くて、冬は太陽から離れているから寒い、というイメージも根強くあるようです。

 

もうちょっと整理しながら考えてみましょう。

 

まず、日照時間だけを取り出して考えてみます。
極端な話をしますと、
ノルウェーとかカナダなど、緯度の高い地域には、「白夜」があることはご存知ですよね。夏になると、かなり日照時間が長くなります。
ノルウェーオスロだと、6月は4時に日が昇り、22時半頃に日が沈むそうです。東京の夏至では日の出が4時半、日の入りが19時なので、東京のほうがずっと日照時間は短いです。(晴れを前提としています)
でも東京のほうが暖かいですよね。
日照時間が気温への一番の影響、というわけでは無いようです。

 

つぎに、太陽の距離を考えます。夏は太陽が近いから暑いのか?
ノルウェーより東京のほうが赤道に近くて太陽が近いから暖かいのか?

これは違います。
皆さんがよく見るこんな図↓をイメージしてしまうと、たしかに、太陽からの距離が関係しそうですね。

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でもこれはあくまでもデフォルメした図です。

実際の太陽と地球の大きさと距離を調べてみましょう。

 

太陽の直径 1392000km
地球の直径 12742km
太陽と地球の距離 149600000km

 

大きすぎてピンときませんので、縮尺してみます。
よく、太陽をバスケットボールとすると、地球は米粒くらい、と例えられます。

 

バスケットボール 24.5cm
米粒 約2mm

バスケットボールと米粒の距離 26m

 

26m離れているのに、米粒の真横と、斜め上で、バスケットボールからの距離が変わるかと言ったら…変わりませんよね。無視できる範囲です。

 

では何が夏の暑さと冬の寒さを作っているのか。

一番影響しているのは「入射角」です。太陽が真上から照らすか、横から照らすか、です。(やっぱり中学校の教科書通り。)

でも太陽との距離は変わらないのに、日がさす方向だけでそんなに暖かさが変わるのか?当時の私はピンときていませんでした。ですのでちゃんと説明すると・・・


懐中電灯の光で例えると、
懐中電灯を壁に対して垂直に向けて壁を照らすと、狭い範囲が明るく照らせます。でも懐中電灯を斜めにすると、広い範囲を照らせますが、薄暗くなります。懐中電灯が発している光の量はおなじでも、垂直に当たるか斜めに当たるかで、ある決まった範囲で受け取る光の強さは違ってしまいます。

 

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これと同じことが地球でも起きています。東京の夏はかなり垂直に近いところを太陽が通りますが、冬はだいぶ低いところを太陽が通ります。

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夏と冬の光の強さの違いは人間の目には判断できませんが、たしかに、地面を照らす光の量は違っているのです。

 

入射角が小さいと(太陽が低いと)、それだけ大気のなかを長く通過することになるから、光の量が減って弱くなる、という説も聞いたことがあります。

太陽の光が地球に届くとき、大気や雲、地表面等で30%程は反射してしまいます。20%は大気等に吸収され、50%ほどが地面に吸収されます。基本的に太陽の光は直接大気を暖めません。光は地面にぶつかって地面を暖めます。地面から放出されるエネルギーが、大気を暖めるのです。

地球のエネルギー収支 - Wikipedia

大気の中を長く通過すれば、大気や雲によって反射する光が増え、地面に届く光が減ることも考えられますね。これがどの程度影響しているかは、私が調べた範囲では分かりませんでした。雲が無い状況では、大気の影響はそこまで大きくないんじゃないかなと私は考えています。


ということで、太陽の光が垂直に差し込むこと(かつ、日照時間が長くなること)が夏の暑さを作る直接の要因といえるでしょう。

 

◆◆◆


では、夏至と真夏、冬至と真冬がズレる理由ですが、、、

 

地面が太陽光によってエネルギーを吸収すると、①地面はエネルギー(目に見えない光として)を放射します(黒体放射とか地球放射、というらしいです)。地面からの放射は水蒸気や二酸化炭素に吸収され、これらを暖めます。②地面に含まれる水等が蒸発し、蒸発熱として大気中にとどまります。

これらが、私達の感じている「気温」というやつです。

 

地球からの放射が気温を左右しますが、その放射が最も強くなるのが、夏至から約1ヶ月後、放射が最も弱くなるのが冬至から約1ヶ月後となります。

太陽から得たエネルギーを、地面が溜め込む(蓄熱する)という性質が、この地球からの放射時期のズレを生んでいるといえます。簡単に言えば、「熱しにくく冷めにくい」です。

 

地球の放射時期が1ヶ月ズレる…?

いや、夏至は6月20日、真夏は8月、2か月近くズレているじゃん!

 

これは皆さんご存知、梅雨の影響でしょう。
日本は夏至前後は雲に覆われて、日照がかなり少なくなります。日本特有の気候条件が暑さのピークをさらに遅らせているのです。

水は地面よりも熱しにくく冷めにくいので、海に囲まれた日本はより夏至と真夏がズレる傾向にあるとも聞いたことがあります。


内陸国であるアフガニスタンと比較してみましょう。

  

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*アフガニスタンの気温:wikipediaより

*東京の気温:気象庁のデータ(30年間の平年値)より

 

真夏のピークは、東京では8月ですが、アフガニスタンでは7月頃に暑さのピークが来ます。真冬は東京もアフガニスタンもだいたい一緒で、1月に寒さのピークがきます。

アフガニスタンの気温を見てみると、冬と夏の気温差が大きいですね。1日の気温変動も、東京と比べると大きくなっています。これは、地面から放射されるエネルギーを受け取る水蒸気が少ないうえ、熱のフタをする雲が少ないため、エネルギーが宇宙のほうに出ていってしまうから、です。「放射冷却」なんて言葉、テレビでよく聞きますね。

 

ついでに、日本と緯度が近いポルトガルの年間気温を載せておきます。

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*リスボンの気温:wikipediaより

*東京の気温:気象庁のデータ(30年間の平年値)より

 

ポルトガルは7~8月に暑さのピークが来ているみたいです(このグラフでは微妙なところですが)。まわりが海だからでしょうか、アフガニスタンよりは暑さのピークが後ろに来ているような気がします。でもそれよりも温暖な海流の影響を受けて、冬が温かいのが目立ちますね。実にうらやましいです。

 

◆◆◆


ということで、地球の蓄熱効果により、夏と冬がある緯度の国ならだいたいは、夏至と真夏、冬至と真冬はズレています。
日本では特に、梅雨の影響で真夏は遅れます。


それ以外にも、海流の影響や大気の流れの影響がありますので、実際はより複雑になってきます。そして温室効果ガスや大気中の飛散物質。考え出したらきりがないですね。


さむくてお出かけしたくないときは、コタツでゴロゴロしながら、地球規模のエネルギー収支とか気候変動とかそのメカニズムとか、スケールのデカいことを考えてみるのもまた一興ですね。


※今回のお話、私は専門外なので、誤りがあるかもしれません。がんばって調べましたが、間違いがあった場合はご指摘お願いします。